2024/06/11 10:30
SPOT LIGHT 障害福祉を知り、理解するコラム
二か月に一度ほど ELEPHANT が、施設、店舗、作業所などを取材して、そのリアルな声をお届けするページ。
その第ニ回目をお届けします。
第一回に引き続き台東区今戸にある珈琲と焼き菓子のお店「IRODORI café」さんに来ています。
今回も「社会福祉法人清峰会 障がい者施設浅草みらいど」の坂裕明さん、松川容子さんがお話してくださいました。
IRODORI caféさんとみらいどさんについて、
詳しくはこちらから!↓
https://www.instagram.com/irodoricafe_2143
https://care-net.biz/13/asakusa-miraido/
利用者さんが働きやすいよう工夫されていることがあるとか・・・。
まずはこのスペース。ふわふわのクッションが置いてあります。利用者さんは、いつもと違う環境にとても敏感です。例えば、お天気一つにしても働く意欲に影響してくる。
そんな時は、ここに座りリラックスしてもらうことにしています。心を落ちつけて、気持ちが上向きになるまで時間を設定せずに、気持ちを整理できるノートに記入してもらったりして待ちます。
設定するとかえってお互いに焦りが生じ、良くない結果を招くことがありますからね。
また感触の良いクッションに触れていると、しだいに落ちついてくるようで、最初は試しに置いてみたのですが、思わぬ効果に私たちの方が驚いたくらいです。

「リラックススペース」
柔らかい感触のクッションで、心落ちつけて。この時間も、とても大切です。
もう一つ、アレクサの活用も大きい。私たちは利用者さんに、
「あと少しで作業終了です」
などと声かけをするのですが、人によって「あと少し」の解釈も違うし、スタッフによって言いまわし、声質が様々なわけです。これが、利用者さんを混乱させていたんですね。
アレクサは、いつも同じ調子、同じ声で、
「あと5分で作業終了です」
と言ってくれる。
ただの「音」として認識するので、慣れればスーッと心に入っていくのです。お陰でずいぶんと作業もスムーズにはかどるようになりました。
このように色々やってみて、ピタっとハマった時の達成感、成功体験はとても嬉しいものです。
ロゴに込めた思いを教えて下さい。
カフェの名前を「いろどり」と決めた後、表記をどうしようか、何度もミーティングを重ねました。「IRODORI」とアルファベットで書いてみた時、面白いことに気づいたんです。
最初と最後の2文字が同じ。「I」と「R」で構成されている。そこでNODDさんにデザインをお願いして、すてきなロゴを考えていただきました。最後の方の「R」が反転しているのは、大きな意味があるんです。
そもそも文字は、利用者さんが描いてくれたのですが、反転した「R」は、お互いが向き合っているような感じがしませんか?広い意味で、人と人が皆向き合う、つまり目指している共生を表現しているという気持ちが込められています。

「IRODORIのロゴ」
向き合う文字が、静かにメッセージを送っています。さりげなくそれぞれが向き合えればという願いを込めて・・・。
ロゴだけでなく、スタンプカードにも思い入れがあります。これも利用者さんが描いたイラストにデザインを施して仕上げてあります。ポイントのマス目に入っているイラストは、それぞれ違う。つまり、それだけ描いた人が多く、皆自分のイラストが載ったポイントカードをとても誇らしく思ってるんです。
「自分たちのカフェ」の意識が、ここにも表れています。

「ポイントカード」
スタンプを押してもらうのが楽しみになる、利用者さんのイラスト付き。シックな色合いもステキです。
開店してからの周囲の反応はどうでしょう?
近隣の人たちは、毎日通りすがりに利用者さんたちが楽し気に働く姿を見ています。私たちは、それだけでじゅうぶん目的を達したと思っていましたが、ある日、
「ああ、こういうことだったんだ。悪かったよ」
と言ってくださった人がいました。
建設に反対していた人です。これには、私たちの方がびっくりするやら、ありがたいやら、予想外の言葉を全員で共有したことを覚えています。
私たちは、なるべくオープンに、という気持ちから様々なイベントに参加し、販売などを行っています。近所の方たちだけではありません。利用者さんの親御さんの姿にも、心動かされました。娘さんが参加していたのですが、お父さんがその様子を少し離れた場所から身を隠して写真撮影をしていたんです。一生懸命働く姿をカメラに収めるうちに、成長した様子や今までの色々なことが胸によみがえったのでしょう、涙されていたのです。それを見た私たちも、感無量で・・・。
外に出て行くということは、様々なリスクもあるけれど、屋内の閉じられた場所での作業だけだったら、娘さんがお客様と触れ合って笑顔になる姿など見ることはできませんからね。これからも、色々な形で挑戦を続けていこうと思っています。
今後の展望などはありますか?
構想段階の企画はいくつもあります。まず、やってみようと言う気持ちを大切にして、準備を始めます。試行錯誤して、それでも難しいようなら、今はその時ではない、と気持ちを切り替え他の企画に移る。
でも、チャンスがあったらまた着手するつもりなので、ちゃんとストックとして保存しておきますね。
定期収入は、とても大切です。やはり、資金がないと先に進めませんから。ここ数年障がい者アートが注目されていますが、それも継続性を持たせたらどうか、という視点で考えています。
「アートのサブスク」は、その一つ。企業や個人にアート作品を貸出し、レンタル料を払っていただく。毎月コンスタントに収入が見込めれば、新しいことを始める時の資金源になります。絵画などは、購入してしまえば、その一枚だけで完結してしまうけれど、サブスクなら気分に合わせ、違う絵をレンタルすることもできるし、そうすることで楽しみも増えるのではないかと思っています。
まずは、知ってもらいたい。発信することの大切さを日々感じています。行動を起こすことで、新しい扉が開いていきます。
取材を終えて・・・
お忙しい中お時間をいただき、質問に丁寧に答えてくださいました。感謝です。カフェだけでなくニ階から上の作業スペースや食堂なども見学させていただき、利用者さんと直接ふれあうひとときも設定いただきました。
お礼に、と持参したELEPHANTオリジナルのマグカップは、早速カウンターに置いてくださり、ある意味これもコラボだなぁ、と嬉しくなりました。
坂さん、松川さん本当にありがとうございました。

「マグカップ」
こんな感じで置いてくださいました。置いた瞬間なじんでしまい、ずっと前からここにあったような気持ちに。
最後に就労継続支援について説明しますね。
A型:一般企業での就労は難しくても、就労支援施設で雇用契約に基づいて働ける人。雇用契約を結んだ上で就労します。
B型:体調や障がい特性に応じ、自分のペースで利用します。雇用契約は結びません。
どちらも、一般企業などで働くことが困難だけれど、障がい福祉サービスを受けながら就労しています。就労支援施設などで働いています。「IRODORI café」さんは、B型に該当します。